この度、お話をうかがうのは精神科医療に取り組みながら、スピリチュアルな側面に深い関心を寄せてこられた岡村毅先生だ。先生は精神医学を学びながら、わがこととして宗教にも関わっておられるという点で、私自身にも覚えがある領域を歩いてこられた方である。現在は、高齢者の医療とケアにおいて、スピリチュアリティがどのように求められているのかについて、実践しつつ深く考え、仏教者とのコラボも積極的に進めておられる。スピリチュアリティと老いについては、考えるべきことが多いが、私はこれについて私なりに感じ、考えてきたことについてお話ししたい。現代日本社会では、老いと医療とケアが大きな課題となっている。高齢者のケアから生ずる辛さや痛みは、老いによる喪失や悲嘆とともに多くの人々の日々の現実である。宗教者によるさまざまな取り組みもスピリチュアリティの新たなかたちを指し示しているのではないか。“新たなケアの文化とスピリチュアリティ”という問題意識をもって、老いについて考えていきたい。
2022年 5月12日 開催
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1977年米国生まれ、2002年東京大学医学部を卒業し医師免許取得。東京大学大学院にて医学博士取得。精神神経学会専門医・指導医、老年精神医学会専門医・指導医、精神保健指定医の資格を持つ。東京大学医学部助教を経て、現在は東京都健康長寿医療センター研究所研究副部長として高齢者のメンタルヘルスの研究に従事する。上智大学グリーフケア研究所非常勤講師、東京大学非常勤講師、大正大学地域構想研究所非常勤所員を兼務する。またNPO法人ふるさとの会の顧問として、ホームレス支援に従事する。
1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所所長を経て、大正大学教授。おもな研究領域は、近代日本宗教史、宗教理論、死生学。
『宗教学の名著30』(筑摩書房)、『宗教ってなんだろう?』(平凡社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店)など著書多数。
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